「こ、う……?」
あの頃より低くなった声。
あの頃より伸びた身長。
あの頃より逞しくなった身体。
あの頃と何一つ変わらない匂い。
「那月っ……やっと、やっと見つけた。」
切羽詰まったような洸の声。
「洸、なの?」
自然と涙が零れた。
私を背後からキツく抱き締め、肩に顔を埋めてる洸。
耳にかかる吐息がくすぐったい。
クルリと洸と向き合い、しっかりと顔を見る。
「探した……今まで何処に居たんだよ。」
泣いている私の涙を親指で拭いながら、泣きそうな顔をした洸。
「ごめん……」
これが精一杯だった。
居なくなってごめん。
心配かけてごめん。
そんな顔させてごめん。
忘れたくても忘れられなかった。
今でも私は洸が好きだ。


