月を探す光


那月の家から学校までだいたい30分。


でも、那月は1時間経っても2時間経っても学校に来なかった。


スマホを学校に持って来ない那月と連絡取れる手段はない。


心配になった俺たちは教師にいう事にした。


「おい!那月が来ねぇ!」


「岸野!先生には敬語を使え!」


「そんな事言ってる場合じゃないんだよ!
那月が家を出て2時間経ったのに学校に来ねえんだ!」


当時から那月命の洸は、珍しく取り乱していた。


「那月って1−Bの宮崎の事か?」


「そうだよ!来ねえんだ!
あいつを捜して来ていいか!?」


普段冷静で大人な洸が取り乱してる事に驚いている教師。


「確かに宮崎の家からはなんの連絡もないが…どうして2時間前に家出たなんて分かるんだ?」


「俺のスマホに2時間前に家出たって来たんだよ!」


「お前なぁ…まぁ良い。
他の先生に相談して来る。
何かの事件に巻き込まれてても困るからな。
少し待ってろ。」


やんちゃしている俺たちの事を平等に扱ってくれて、話を聞いてくれる比較的良い教師。


あの時初めて教師に感謝した。


それから少しして、


「1学年の先生方が外に探しに行く事になった。
だからお前らは待ってろ。」


「俺も探しに行く!
那月が…那月が泣いてるんだ。
早く、早く見つけてやらねぇと。」


「はぁ…先生達には俺から言っといてやる。
おら、さっさと探しに行け。
大切なんだろ?」


「あぁ!さんきゅな!」


「ありがとうございます。」


洸はすぐに下駄箱に向かって走って行って、俺は教師に頭を下げて洸の後を追った。