月を探す光



「「ちっ……」」


あ、洸と被った。


そんな些細な事でも嬉しいと思ってしまう。


「口悪っ!」

「てか、そろそろ本題に入れよ」


放送かけた男二人がうるさい。


「ねぇ。」


種明かしをしようか。


「なんだ?」


落ち着く為に地べたに丸くなって座る。


もちろん私の隣は洸で。

反応したのも洸だ。


「あれ、鬼ごっこじゃないよね?」


「…ばれたか?」


「途中で可笑しいと思った。
鬼ごっこじゃなくて、どこかに誘導されているって。
その誘導された場所が屋上だった。」


「さすが那月だ。」


頭をヨシヨシと優しく撫でられる。


「普通に呼ぶんじゃどうせ断られると思ったから、鬼ごっこで誘導させる事にした。
でも、俺は面子に屋上まで誘導しろとは指示してない。」


「でも、学校から出させないように指示はしたでしょ?」


「当たり前だ。
俺は学校から出さず那月を"上に行かせる"よう、それだけ指示した。
屋上に来たのは那月の意思だ。
那月なら来ると思ったから、余計な指示は出さなかった。」




私なら屋上に来ると思った、か……


確かに私は何かあったらすぐ屋上に行く。


だって屋上は、洸との思い出の場所だから……