月を探す光


那月side


昨日、あの後授業をサボって家に帰った。


自然と溢れてくる涙は止める術もなく、ずっと泣いていた。


次の日、目が腫れていたのは言うまでもない。


なんとか重い身体を起こして学校に着いた。


……学校まで迷って、着いたのは9時半だ。
昨日より30分縮まった。


友達を作る気も誰かと群れる気もない。


教室で仲良しグループを作ってキャッキャしてるギャルを遠目にボケーっと見ていた。


すると、


《えーテステス。只今より鬼ごっこをしたいと思いまーす!イエーイ!》


…………………。


突然放送が校内に響いた。


放送してる人、頭大丈夫かな?


《ルールは簡単。
2年A組の宮崎那月を捕まえれば良いだけ。
鬼は俺たち月光。
それ以外の奴の参加は認めない。
勝手に傍観でもしてろ。良いな。》


………いや、ちょっと待て!


可笑しいだろ。可笑しすぎる。


私だけ逃げて鬼は月光?


なにそれ。てか、月光って何…?


取り敢えず逃げないといけないわけ?


ガタンッ


状況把握してないけど、捕まりたくないから逃げよ。


それが一番だ。


《はーい。それじゃあ、よーいドン!
那月ちゃん頑張ってねー。

月光の諸君、全力で那月ちゃんを捕まえて俺たちの所に連れて来てねー。》



……絶対放送した奴、あとでしばく。



こうして魔のリアル鬼ごっこは始まった