月を探す光


「とりあえずこれ掛けといて。」


胸が丸見えの那月に、俺の上着を着させる。


「ぁりがと…」


また、我を失くしている洸を見つめている那月。


理人と翔が洸を必死に止めても、殴られて止められない。


俺も止めようとしたけど、それでも止まらない。


それ程怒っている洸。


そりゃそうだ。


愛して止まない那月が傷ついたんだ。


怒って当たり前だ。


ただ、度が過ぎているけど。


「こ、う……」


消えそうな細い声で、洸を呼ぶ那月。


一瞬、ほんの一瞬、洸が止まった気がした。


もしかしたら……


「那月!そのまま洸の名前呼んで!」


那月なら洸を止められるかもしれない。


「……洸」


今度はハッキリ、名前を呼んだ那月。


すると、さっきよりも動きが止まった洸。