分かっててここに来たんだよバカめ。
誰が好き好んでこんな場所に行くか。
「月光だ。」
「あぁ!?月光だぁ?」
「那月を返せ。」
「あぁ。あの女か。今頃総長に犯されてんじゃねえの?ギャハハハハ」
ブチッ
……隣に居る洸から、そんな音が聞こえた。
「……ざけんな」
そう呟いて、
「やれ。遠慮なんていらねぇ。潰せ。」
「「「「「了解!」」」」」
抗争は始まった。
俺たちに向かってくる黒蛇のカスは洸の殺気に負けて近づいて来ない。
あ、近づいて来ないんじゃなくて近づけないんだ。
多分今の洸なら人一人殺しかねない。
なんせこの問題の中心に居るのが那月だから。
二階に上がって、一直線に何処かの部屋へ進む洸。
「なんでその部屋に行くの?」
片っ端から探して行った方が良くない?
「この部屋に那月が居る。」
お得意の勘で分かるらしい。


