月を探す光


「とりあえずこれ掛けといて。」


自分の着ていた上着を私に掛けて前を留める慶。


あ……胸見えてるんだった。


だから慶が目を逸らしてたのか。


「………ぁりがと」


見えないと思っていた女顔と翔は、必死に我を失ってる洸を止めに行っている。


「洸!やめろ!」


「それ以上やったらそいつ死ぬ!」


「落ち着けって!」


止めに行く女顔と翔は突き飛ばされて、誰も洸を止める事が出来ない。


あの慶でさえ洸を止めれない。


「こ、う……」


ねぇ、もう私のこと嫌いになった?


ほんの一瞬、ピタリと止まった洸。


また殴り始めたけど。


見間違いかも。


「那月、そのまま洸の名前呼んで!」


「……洸」


ねぇ、他の男とキスした汚い私に幻滅した?


また、今度は目に分かるくらい殴るのを止めた洸。