慶side
いつものように遅れて学校に行き、洸と翔と理人と合流する。
途中で理人の彼女の加奈ちゃんとも合流。
5人で行くのは溜まり場である屋上。
階段を上がってると、先頭を歩いていた洸が立ち止まった。
「洸、どうしたんだ?」
俺が話しかけると、洸は無言で突然階段を上がるペースが速くなった。
荒々しく扉を開けて、そっから走り出した。
いきなりどうしたんだ?
全員が疑問を抱えていた。
"あの子"が居なくなってから、無気力でただ呼吸をしているだけの日々を過ごしてきた洸。
当然、走るなんて事は久しくしていなかった。
のに、突然走り出した洸。
不思議に思いながら屋上に出ると、あり得ない光景が広がっていた。
「那、月……?」
ウソだろ……
洸がずっと探し求めていた彼女、那月が今俺の目の前で洸に抱きしめられている。
「誰あの女」
「ねぇ慶、あの子誰?」
翔と理人が話しかけているけど、今はどうでもいい。
「良かったっ……」
良かった。本当に良かった。
これで洸が苦しむ事が無くなる。
那月が居ないと、洸は"空っぽ"なんだ。


