「ごめんね……」
「那月……俺はお前を逃さねぇ。」
「……泣かないで、洸。」
「泣いてねぇ。」
心が泣いてる。
私には分かる。
でも、洸を泣かせてるのは私だ。
「ごめんね……」
屋上を出ようとドアの方を向くと、洸の友達らしき人が居た。
男の子が3人と女の子が1人。
男の子の内1人は知っている。
「慶……久しぶり。」
「那月、久しぶりだね。」
佐野慶
黒かった髪は赤茶になって、身体も成長している。
"楽しかったあの頃"は私と洸と慶の3人で過ごしていた。
「…じゃあね。」
人の間をすり抜け、私は屋上を立ち去った。


