「那月……」
また、洸は私を正面から抱きしめる。
背中に回された筋肉のしっかりついた逞しい腕。
私もそれに応えようと、洸の背中に腕を回そうとした。
「っ……」
回そうと中途半端に上がった腕は、ダランと垂れ下がる。
洸にもっとくっ付きたい。
でも、"あの光景"が私を邪魔する。
ドキドキと聞こえる洸の心臓の音。
ドキドキしている私の心臓。
「お前は俺のものだろ。」
「洸……」
そんな悲しそうな声出さないで。
でも……
「洸、自然消滅したんだよ。私達は。
もう3年だよ?終わったんだよ。」
洸にそんな声を出させてるのは私だ。


