Bu-KIYOびんぼう ~幼なじみと不器用な約束~

「キヨ」


顔を上げると、タっくんがいた。


「水分取ってる?」

「あ、ノドは乾いてないかな」

「乾いてからじゃ遅いよ。顔真っ赤だぞ」

「すぐ赤くなるの」

「なんでこっち来たの?」



なんでって…ユリエちゃんが…

急に、そんなこと言うのが嫌になった。



「こっちに、来たかったから」


タっくんが、少し驚いたように私を見た。

探られてる…


「あの…タっくんのプレーは山だね」

「ん?」

「あ、私はテニスには詳しくないけど…小説で言えば、松本清張?」

「重っっ!!」

「重厚!重厚!」

「中学生で『重厚』って言われても…」