Bu-KIYOびんぼう ~幼なじみと不器用な約束~

「あなたのお祖父ちゃんと私が知り合った時、お祖父ちゃんはまだ結婚していました。

結婚して10年経っていたけど、子供がいなくて…奥様は資産家の一人娘で、夫婦仲も良くないと私は聞いたんです。

まだ私は若くて、お祖父ちゃんと結婚したかったので、経済的な問題がないようだったし…話し合って離婚してもらいました。

自分の方が、絶対に幸せにできるっていう自信があったの。

お祖父ちゃんは、ずっと子供を欲しがっていたので、5人の子供を授かって、立派に育て上げることがお祖母ちゃんの生きがい…。

正直言って、お祖父ちゃんは結婚してみると少し子供っぽい部分があったわね。

だけど、私は子育てに夢中で何も気が付かなかった。

気が付かなかったというより、てっきり満足しているものと思っていたんです。


ところが、お祖父ちゃんは職場の教師と蒸発してしまって…


五人の子供と教員免許だけが残されて、お祖母ちゃんはそれでも、絶対に負けるもんかと思ったの。

ここで負けたら、前妻さんに『それ見たことか』と笑われると思ったのね。


聞いていて、辛くない…?

お祖母ちゃんは、この話をするの辛いわ…」