Bu-KIYOびんぼう ~幼なじみと不器用な約束~

病室に戻ると、お母さんが私の体にすがりついていた。

看護士さんたちが、その肩を抑えていた。



「言ってよ…言ってちょうだいよ…お母さん、馬鹿だから分からないのよ…

言ってくれないと、分からない…何でもいい。何でもいいから言って…

あんたの為なら、何でもするから…どうして欲しいか、言って…お願い…」



自然と言葉が出た。

お婆さんみたいな、しわがれた声だった。


「…拒食を…取らない…で。もう、なにも…ない」



お母さんの顔が蒼白になった。

ふらりと立ち上がって、看護士さんの手を払いのけると、病院から出て行った。


お母さんはバス停のベンチで長い時間、ぼんやりと座っていた。

バスの運転手さんが、お母さんの姿を見るたびに訝しげな顔をした。

それにも気が付かないみたいだった。


それでもお母さんは立ち上がると、バスに乗った。

電車を乗り継いで、家の最寄り駅に降りた。


デパートのある東口は、学校帰りの学生でいっぱいだ。

「クリスマスだからってぇ、すごい気合入れてきました!みたいなぁ」

「だけど気合はどーしても入るっしょ!」

「まあね、このダッサイ制服姿しか見せたことないしね!」


その中をお母さんは、流れに逆らって進んで行く。