「どうして食べないの?」


食べないわけじゃない。

食べたいけど、口につけられない…



お母さんが怒っている。

だけど、遠い。



耳の中に何かつまってるみたい。




「しかも勝手に通販で買い物なんかして。忘れてたなんて、しらを切り通す?そんな言葉で誤魔化されると思ってるの?そんな子だとは思わなかった。子供に裏切られるなんて、親としてこんなに悲しいことないわよ」



悲しませてる…

涙が出た。


「泣かないでちょうだい!泣きたいのはこっちよ。何万円も請求されて、警察に相談までして、結局あなただったなんて…どういうつもりでいるの?」


鋭い声が耳に刺さった。



「説明して欲しいって言ってるの。お洋服は充分持ってるでしょ。着物だって…あんなに着る機会がないでしょう?それをダンボールで何箱も買うなんて普通じゃないわよ」


沙奈が口を挟んだ。

「お母さんの趣味がダサいからじゃん?ピンクとか赤とか…」

「子供が親のやることに口を挟むんじゃない!自分の部屋に行きなさい!」