テスト最終日。

学活から解放された途端、みんなのテンションが爆発した。

「終わったあ!」


すごい盛り上がり…

私は自分のカバンに荷物を詰めた。


ふと目を上げると、ユリエちゃんが立っていた。

目が合うなり、早口で言った。


「私、ヤグと別れてないから」


そんなこと…

どう返事したらいいの?


ボンヤリしてたら、手から教科書がバラバラと滑り落ちた。

私はしゃがんで、それに手を伸ばした。


肩をつかまれた。

「私!別れないからね!!」

「う、うん…」


ユリエちゃん、声が大きい…。

クラス中が、急に静かになった。


早く帰ろう。

早く帰るように言われてるんだから。


「ねえ!聞いてる!?」

ユリエちゃんが、さらに肩ぐっとつかんだ。


「や、やめなよ…」

「そうだよ」


クラスの女の子の声が聞こえた。


ユリエちゃんの手首をタケルくんが掴んだ。

「もう止めろ」


ユリエちゃんの手は離れない。

眉を寄せて、変な声を出した。

「な、なにこれ…」


ユリエちゃんの手が、私の肩から腕に移った。


「構うなって」

「違う!…なにこれ…え?」


別の子も間に入って来た。

「止めなさいって!」

「違うよ!そうじゃなくて!」

「そんなこと香田さんに言ってもしかたないじゃん!」


小笹先生が入って来た。


私は慌てて、先生の後ろに隠れた。

最近、先生にくっつきすぎてみんなにバカにされる。

だけど、なんか安心するから…。