「おはよう、結衣」
「結衣、帰ろう」

付き合ってから橋本は結衣と呼び、そして毎日一緒に登下校するようになった。結衣は相変わらず橋本くんと呼んでいる


そんな様子を見ていた周りの人たちが、結衣たちが付き合っていると噂するのに時間はかからなかった。

しかし好きな人がいると公言していた橋本だったから、結衣が呼び出しをされたり、悪口を言われたりなんてことは全くなかった。



橋本はとても優しくて、恋愛初心者な結衣を気遣ってくれていた。歩くときは必ずペースを合わせてくれたし、さりげなく道路側を歩いてくれた。少しでも悩んでいることがあれば話を聞いてくれていた。

結衣もそんな橋本くんの役に立ちたくて、テスト前には一緒に勉強して教えたりしていた。


ただ、穏やかで幸せな時間だけが過ぎていた。