「おはよう、渡辺さん」 「あ、おはよ」 後ろの席の木村陽太は毎朝挨拶してくれる。 私は勝手に、彼のことをもっと目立つタイプの人間かと思っていたけど、なんだか近寄りがたい人オーラを持った人だった。 ただ、私には違かった。 「ね、渡辺さん」 肩をトントンと叩いて私の名前を呼んだ。 「ん?」 「今日、一緒に帰れる?」