「おはよう!すみれ!」


「おはよう!菜々!」


「ねぇすみれ!ちょっと聞いてよ!」


「なになに?」


「さっき電車でね、隣の席、凌我くんが座ったの♡」


「相っ変わらず菜々は氏野くんの事好きだねぇ」


氏野凌我


同じクラスで、学園中のアイドル的存在でもあるモテ男。


そんなことは誰でも知っている


私の親友、菜々は氏野凌我の事が大好きすぎる。


「ねぇねぇ菜々、昨日のテレビ見た?」


「みたみた!あれ面白かったよねー!」


なんて、なんの取り柄もない


こんな毎日が


何もないあたり前の毎日が


そんな日々が


甘く


とろける


そんな日々に変わってゆくのに


私はまだ気づいていなかった。