幸せの定義──君と僕の宝物──

「まぁ…良かったんじゃねぇか?お互いにずっと好きだったんなら…。オレは今度こそ邪魔しねぇように大人しくしてるわ。」

ユウはリュウに掛ける言葉が見つからず、黙ってビールを飲んだ。

リュウの気持ちが、痛いほど伝わってくる。

リュウは伝えられなかった想いを胸に閉じ込めて、平気なふりをしている。

どんなに想っても届かない恋心は、残酷なほど鮮やかな色で、いつまでも心に残り続ける。

戻れない日々を過去として受け止めるには時間が掛かる。

遠く離れていれば見ないふりもできるのに、手を伸ばせば届くかも知れない場所にその人がいれば尚更だろう。

(好きな人がすぐそばにいる自分以外の男と幸せになるのを見るのはつらいな、リュウ…。)

「オレは恋愛には向いてねぇんだな。手の届かねぇもんばっか欲しがって、すぐに手に入るのはロクでもねぇもんばっかだ。欲しくもねぇもんなんか、要らねぇっつーの。」

リュウは自嘲気味に笑って、タバコに火をつけた。

ユウは、トモがリュウの事を“元々女性不信なところがある”と言っていた事を思い出した。

リュウのすべてをまるごと愛してくれる人をリュウが愛する事ができたなら、それが一番幸せなのかも知れない。

でもリュウは、愛する人に愛される事を、誰よりも望んでいるのかも知れない。

(愛する人に愛してもらえない…か…。)

リュウは恋愛に向いていないのではなく、不器用なだけなのだろう。

ユウは、いつかリュウの心の居場所になって、すべてを包み込んでくれる誰かが現れる事を、願わずにはいられなかった。