幸せの定義──君と僕の宝物──

何も言わず会議室を出たリュウの後ろ姿をつらそうに見つめながら、ユウの肩を叩いて“リュウのそばにいてやってくれないか”と、トモが言った。

本当は誰よりもリュウのそばにいたいのに、自分がそばにいても、余計にリュウを苦しめる事になるとトモは思ったのだろう。


ユウは静かにリュウの隣の席に座り、ビールをオーダーしてタバコに火をつけた。

「ユウ…。」

隣に座ったユウの顔を見て、リュウが力なく呟いた。

「よぅ。偶然だな。」

運ばれてきたビールを手に、ユウが笑う。

「乾杯でもするか?」

「ああ…そうだな…。」

二人は軽くグラスを合わせた。

「結局…オレが余計な心配なんかしなくても、ちゃんと落ち着くとこに落ち着いたな…。」

「そうだな…。」

「オレの出る幕なんかどこにもなかったわ。」

無理をして笑うリュウの笑顔が痛々しくて、ユウはそっと目を伏せた。

「この間な…レナに言われたんだ。」

「なんだ?」

「出会う運命なら、偶然に偶然が重なって、また出会えるんだって。トモと彼女は…偶然また会えた…。」

「そうだな…。オレは同窓会に行っても会えなかったし…連れから聞いたアイツの住んでる場所の近所まで行ってみても、会えなかった。」

「そうか…。」

「それもまた運命ってやつかな…。」

リュウは短くなったタバコを灰皿の上でもみ消して、グラスに口をつけた。