幸せの定義──君と僕の宝物──

リュウはタバコに火をつけて、煙を深く胸に吸い込み、ため息と共に吐き出した。

(情けねぇ…。カッコわりぃな、オレ…。)

リュウはおかわりしたビールを、また勢いよく煽る。

あの頃も今も、どうにもならない想いがリュウの胸を強くしめつける。

(なんにも持ってねぇオレなんかじゃ、やっぱ…トモには勝てねぇか…。)

リュウは若い頃からずっと、親友のトモに劣等感を抱いてきた。

頭が良くて優しくて、人当たりが良く誰からも愛されているトモが羨ましかった。

(今更だな…。もう昔の話だ…。)

トモがアユミと幸せになれるのならそれでいいと思っているはずなのに、どこかで素直に笑えない自分がいる。

(トモとアユミが一緒になるって事は…オレの存在なんか、邪魔でしかねぇよな…。トモはもうきっと、オレにはアユミと会わせたくねぇだろうし…。)

どうにもならない想いを打ち消してしまおうとすればするほど、えぐられるような胸の痛みに苛まれた。

(これでホントに終わったな…。)



バーのドアを開けたユウが、カウンター席で一人、背中を丸めてビールを煽っているリュウを見つけた。

(やっぱりここにいた…。)

寂しげなその背中をユウは愛しげに見つめた。

(結局…片想いで終わったな、リュウ…。)