幸せの定義──君と僕の宝物──

二人の間に、ぎこちない空気とほんの少しの沈黙が流れた。

トモは緊張で全身がひきつりそうになりながらも、意を決してアユミに向き直る。

「あのさ…単刀直入に聞くけど…マサキ、オレの子だよね?」

アユミは黙ってうつむいたまま、トモと目を合わせようとはしない。

何も答えないアユミにトモはため息をついた。

「なんで何も言ってくれないの?」

アユミはただ黙って唇を噛み締めている。

「なんで…なんで何も言ってくれないんだよ!!オレ、アユちゃんが妊娠した事も、マサキを一人で産んだ事も、何も知らなかった!!今日マサキが来てくれなかったら、ずっと知らないままだったんだ!!そんなにオレには隠しておきたかったの?それともオレには2度と会いたくなかったから?」

思わず大きな声をあげたトモに、アユミが首を横に振る。

「違うよ…。」

アユミがやっと小さな声を絞り出した。

「言えるわけないよ…。あの時、トモくん学生だったし…。私のせいであんな別れ方したのに…言えるわけないじゃない…。」

「オレなんかじゃ頼りないから…?だったら…生まれたのがリュウの子なら言えたのか?」

トモの中にずっとつかえていたわだかまりが、無意識にこぼれ落ちた。

思わず口にしてから、トモは我に返る。

(あっ…。オレ、なんて事を…。)

「ごめん…こんな事言うつもりじゃ…。」

慌てて謝るトモの顔を、アユミが悲しそうに見つめた。

「そんなふうに思ってたんだね…。トモくんと宮原くんが友達なんて、あの時は知らなかったけど…私は妊娠した時からトモくんの子だってわかってたから…産む事を迷わなかった…。」

「え…。」