幸せの定義──君と僕の宝物──

「ごめんなさい…。でも…どうしても行きたかったんだ。トモに会いたかったんだもん…。」

「トモさんに迷惑掛けちゃダメでしょ?うちの子がご迷惑お掛けしてすみませんでした。」

トモは慌ててマサキをかばう。

「あの…こちらこそすみません…。会場でオレがぶつかって、マサキに怪我させちゃって…。家も遠いし一人じゃ帰せないから送らせてもらいました…。」

ぎこちなくトモがそう言うと、母親は深々と頭を下げた。

「わさわざありがとうございます。」

「…いえ…。」

(別人…?じゃないよな…。本人だよな?なんで知らないふりするんだよ、アユちゃん…。)



トモは玄関先で、マサキを背中から静かに下ろした。

「トモ、ありがとう!!」

「いや…怪我させちゃってごめんな。治るまで無理して動かすなよ。」

「うん。」

マサキが怪我をした足をかばいながらゆっくりと部屋に入るのを見届けて、トモはアユミの方を見た。

「アユちゃん…だよね。」

アユミはうつむいて、ゆっくりとうなずいた。

「ちょっとだけ…いいかな。」

トモは、マサキや隣近所に話を聞かれない場所を求め、コインパーキングに停めた車の中でアユミと話す事にした。

コインパーキングまで、二人とも黙り込んだまま歩いた。

車のエンジンを掛け、冷房を入れて、やっと車内が涼しくなり始めた頃、トモが思いきって口を開いた。

「久しぶりだね…。元気だった?」

「うん…。」

「仕事って…。」

「小学校の先生。」

「そっか…。頑張って夢叶えたんだね。」