幸せの定義──君と僕の宝物──

レナの病室を出たユウは、自宅の近所のスーパーへ足を運んだ。

(何作ってやるかな…。どうせ普段まともな食事もしてないんだろうし…。やっぱ、野菜は食わせとくか…。)

ユウは冷蔵庫に残っていた食材を思い出しながらメニューを考え、足りない食材を買い足してスーパーを後にした。


自宅に戻ったユウは、早速キッチンに立って料理を始めた。

レナ以外の人のために料理をするのは、ロンドンでメンバーたちとシェアハウスにいた時以来だ。

大根とニンジンとパプリカを切って調味料を合わせた酢につけてピクルスを作りながら、チンゲン菜と豚肉を使った炒め物や、蒸し鶏のサラダ、茄子とベーコンを使ったトマトソースのパスタを作った。

ユウが料理をしている途中で訪ねてきたトモがその手際の良さに目を丸くした。

「すげーな、ユウ。めちゃくちゃうまそう。」

「腹減ってるだろ?急いで作った。」

「相変わらず…ってか、前にも増して手際いいな。レパートリー増えてるし…。普段から料理するのか?」

「たまにな。レナがつわりひどかった時は、ほとんどオレが作ってた。」

「愛妻家なんだな、ユウは…。」

トモはダイニングセットのイスに座って、テーブルに並んだ料理を眺めている。

「シェアハウスにいた時、トモにも手伝ってもらったな。」

「炒める専門だけどな。」