幸せの定義──君と僕の宝物──

1階についてエレベーターのドアが開いた。

二人は病院の正面玄関に向かって並んで歩く。

「ユウと二人だけで飯なんて、今まであんまりなかったんじゃね?」

「そういやそうだな。久し振りになんか作ってやるから、うち来いよ。たまには二人で飯食って酒でも飲もう。」

「それいいな。じゃあ、帰る頃に連絡してくれよ。なんか持ってくわ。」

「トモはザルだからな…。酒持って来いよ。」

「わかったわかった。じゃ、後でな。」




正面玄関前でトモを見送ったユウは、売店で飲み物を買ってレナの病室に戻った。

「おかえり。」

「ただいま。」

ユウは売店で買ったジュースにストローを挿してレナに手渡した。

「ほい。」

「ありがと。」

ユウがイスに座って缶コーヒーを飲み始めると、レナもストローに口をつけてジュースを飲んだ。

「トモさん…どうかしたのかな?」

「ん?」

「なんか…今日のトモさん、元気がなかったと言うか…カラ元気と言うか…。」

「レナもそう思った?」

「うん。急に私に会いに来るとか…タクミくんならまだしも…トモさんらしくないでしょ?」

「…だよなぁ…。いつものトモなら、冷やかしのひとつでも言って“お大事に”の一言で終わりそうなのに…。」

レナの目にもわかるほど、今日のトモの様子はおかしかったのだと、ユウは改めて思った。

(酒でも飲みながら話聞いてみるかな…。)