幸せの定義──君と僕の宝物──

先程より強い痛みがやって来て、レナはシーツをギュッと握りしめた。

「……っ。」

(痛い…!!ユウ…早く来て…!!)

ハルをこれ以上怖がらせないようにと、レナは必死で声を我慢して痛みに耐える。

するとハルが、右手でレナの腰の下の方を強く押しながら、左手で腰をさすった。

「レナさん、大人だって痛い時は痛いって言っていいの。無理して我慢しないで。ハルがいるから。」

「ありがと…。そうしてもらうと、少しラクになるみたい…。」

ハルに励まされながら、レナはだんだん強く、間隔が短くなっていく陣痛に耐えた。

時々、助産師がやって来て内診をする。

子宮口がなかなか全開にはならず、痛みは強いのにまだ産む事ができない。

「もう少しよ。頑張って!」

助産師はそう言うが、こんなにつらそうなのにまだ頑張らなければいけないのかと、ハルはいたたまれない思いでレナの腰をさすり続けた。

「レナさん、もう少しだって。」

「うん…。頑張るよ…。」

あまりの痛みに、レナの目に涙がにじむ。

(痛い…痛いよ……ユウ…!!)

レナが心の中でユウの名前を叫んだ時。

病室のドアが勢いよく開いて、ユウが飛び込んできた。

「レナ!!」

「ユウ…!!良かった…間に合って…。」

レナがユウに向かって手を伸ばした。

ハルはホッとして、ペタリと床に座り込んだ。

「ごめんな、こんな大変な時についててやれなくて…。大丈夫か?痛む?」

「うん…痛い…すごく…痛い…。」

ユウの手を握りしめ、レナは必死で痛みに耐える。

(あ…レナさん、初めて痛いって言った…。)

ユウの顔を見て、レナがやっと安心できたのだと、ハルは笑みを浮かべた。

ほどなくして助産師がやって来て内診をした。

「片桐さん、そろそろ分娩室に行きましょう。もう一息よ。頑張りましょうね。」