幸せの定義──君と僕の宝物──

ルリカの出産の時を思い出してゲンナリしていたリュウが、ふと遠い目をして、穏やかに笑った。

「そういや…ハルが生まれた時、生まれたてのハルだっこしたな…。小さかった。親父がいない分、オレが守ってやろうと思った…。そん時まだ18だったのに、親父の気分だったわ。」

「リュウはハルちゃんが生まれる前からそばにいたんだな。」

ユウにそう言われて、リュウは苦笑いした。

「娘同然だと思ってたはずなのに、おかしいよな。なんでこんな事になってんだ?」

「いいじゃん。これからもリュウが守ってやるんだろ?」

「まぁ…ハルが大人になっても気が変わらなきゃの話だけどな。ハルはまだ若いし、ハルが大人になる頃にはオレはオッサンだしな…。ハルの気がいつ変わってもおかしくねぇ。」

少し寂しそうに話すリュウに、ユウは笑い掛ける。

「そんな事ないよ。ハルちゃんはこれからもずっとリュウの事、好きだと思うよ。」

「どうだかなぁ…。歳も離れてるし、元々オレはハルの叔父さんだし、本来は一緒にはなれない関係だからな。ホントはオレみたいなヤンキー上がりじゃなくて、もっとまともなヤツと一緒になるべきなんだ。オレはハルが幸せになれんなら、それでいいや。相手がオレでなくても…ハルが幸せなら、それでいい。」

自分の幸せを見つけたと言っていたはずなのに、ハルが幸せになれるなら相手は自分じゃなくてもいいと言うリュウは、ユウの目にはどこか気弱に見えた。

「バカだなぁ…。そんな事言って、ハルちゃんがいなくなるとひとりで泣くくせに…。」

「泣かねぇっつーの。もしホントにそんな日が来たら、笑って送り出してやるよ。」

「顔で笑って心で泣くんだな。」

「だから…オレは泣かねぇっつーの。」

リュウの複雑な心中を察して、ユウはリュウの肩をポンポンと叩いた。

「二人で幸せになれるといいな。」