幸せの定義──君と僕の宝物──

「姉貴もハルをそうやって産んだし、ハルもそのうち経験する事だ。しっかり片桐さん支えてやれ。わかったな?」

「わかった、頑張る…。」

「じゃあな、ハル。ユウに代わるから。」

そう言ってリュウは、ユウにスマホを差し出した。

「ごめん、ハルちゃん。できるだけ急いで戻るから。レナを頼むな。」

「わかりました!」

「じゃあ…レナに代わってくれるかな。」

レナは陣痛の痛みに耐えながら、ハルが差し出した受話器を耳にあてた。

「レナ、こんな時についててやれなくてごめんな。」

「大丈夫…ハルちゃんもいるし…。気を付けて帰って来てね。」

「わかった。じゃあ…切るよ。」



電話を切った後、スタッフに事情を説明して、大急ぎで出発する事になった。

「間に合うといいんだけどな…。」

移動車の中で心配そうにしているユウの肩を叩いてリュウが言う。

「大丈夫だろ。長い場合は丸1日とかそれ以上掛かる人もいる。」

「そうなのか?!」

「まだ普通に話せてるって言うしな。昼過ぎから陣痛始まってんなら、生まれんのはきっと早くても夜か、おそらく夜中だな。」

ユウは、当たり前のように話すリュウを不思議に思った。

「さっきも思ったんだけど…リュウ、詳しすぎるな…。」

「言ったろ?オレは姉貴の妊娠出産に散々付き合わされてんだよ。ハルが生まれる時、どんだけ姉貴の腰をさすらされたか…。16時間だぞ?腕がもげるかと思った。」

「そんなに…?!」

「おまけに元ヤンだからな…。陣痛が激しくなると、オレに激しく当たり散らすんだよ。ハルが生まれる前にオレが殺されるかと思った。」

「マジか…!!」