幸せの定義──君と僕の宝物──

「カメラマンになろうと思ったのは?」

「高校の時、担任の先生が写真部の顧問でね。やってみないかって勧誘されて、やってみたら楽しくて…。3年の夏休み前にユウが急にいなくなって…すごく寂しかった時に、ユウの後ろ姿を撮った写真で、新聞社のコンクールで賞をもらったの。それで続けてみようかなって。芸術大学の写真科に進んで、本格的に勉強して、須藤さんの写真事務所に就職した。」

ハルはハンバーグを形成する手をふと止めた。

「へぇ…。ハルにも何か見つかるかな…。」

「ゆっくり探せばいいよ。なんでも無駄な事ってないと思う。なんでも興味を持ったらやってみるといいよ。」

レナの言葉にうなずいたハルは、再びハンバーグを小判型に形成する。

「うん…。とりあえず今は、とーちゃんのためにもっと料理が上手になりたい。」

レナは、リュウのために一生懸命なハルを見ていると、心が温かく優しい気持ちになるのを感じた。

(ハルちゃんはホントにリュウさんの事が大好きなんだなぁ…。その気持ちに、歳とか関係ないよ…。)

「リュウさんは幸せだね。」

レナが微笑むと、ハルは少し照れ臭そうに笑いながら、小判型にしたハンバーグのタネを熱したフライパンに並べた。

「今はまだ子供だって思われてるかも知れないけど…いつか、とーちゃんの口から、ハルと一緒にいられて幸せだって、言ってもらえるといいな…。」

ハルはそう言って、ハンバーグのタネを捏ねるために外してカウンターの上に置いた、リュウとお揃いの指輪を見つめた。

「“ハルを幸せにできるのはオレだけだから”って、とーちゃん言ってくれたから…“とーちゃんを幸せにできるのもハルだけだよ”って、いつかは言えるように、頑張るんだ。」