幸せの定義──君と僕の宝物──

「私たちマンションの隣同士でね、物心つく前からの幼なじみで…お互い一人っ子で父親がいなくて、母親は仕事で忙しくて。だからいつも一緒にいたんだ。一緒に勉強したり遊んだり、大きくなったら二人で料理して御飯食べたりしてたの。」

「へぇ…。そう言えばとーちゃんがこの間ユウさんに御飯作ってもらって美味しかったって言ってた…。」

「ロンドンにいる時はユウがみんなの御飯作ってたみたいだね。料理できる人がユウしかいなかったからって。リュウさんには髪を切ってもらってたって言ってたよ。」

「とーちゃん、元美容師だから。ママもきーちゃんも美容師。」

「きーちゃん?」

「ママととーちゃんのお母さんで、ハルのおばあちゃん。皐月って名前だから。」

二人は料理する手を動かしながら話し続けた。

「ハルちゃんは将来の夢とかあるの?」

「今はまだないけど…ママが、何かやりたい事見つけなさいって。とーちゃんさえいたらいいなんて甘い事だけは考えるなって言われた。」

「いいお母さんだね。」

「レナさんはカメラマンとモデルでしょ?」

「モデルは母親の仕事の手伝いみたいなものだよ。カメラマンがいいからなんとかやってきたけど…他のブランドでは通用しないの。私、人見知りがひどくて、カメラ目線とかポージングとかモデルらしい事が苦手で…。すぐクビになるだろうね。」

レナは笑いながら酢の物用の合わせ酢を作る。