幸せの定義──君と僕の宝物──

「“恋の定義”?」

「レナ、この見た目だから昔からモテたんだけど…誰に告白されても断ってたの。その理由がそれ。」

「恋ってなんだろうって…。ユウとは幼なじみでずっと一緒にいたから、ずっと一緒にいたいとか大好きだとかいう気持ちが、その時は恋に結び付かなかった。10年も離れて、また会って初めて、それが恋だったんだなって。」

穏やかに話すレナの顔を見ながら、ハルはルリカに聞いた幼い頃の自分の話を思い出す。

「とーちゃんがロンドンに行った時、ハルはまだ2歳だったけど、しばらくは毎日寂しくて、“とーちゃんに会いたい”って泣いてたって…ママが言ってた…。」

「かわいいなぁ…。そんだけ想われたら、リュウも幸せだね。」

マユの言葉が、ハルの心に引っ掛かり、すんなりと落ち着かない。

「とーちゃんは、幸せ…なのかな…。」

「幸せだと思うよ。そうでなきゃ、大人になるまで待つとは言えないよ。」

ハルは大人の女であるレナとマユに、思いきって悩みを打ち明けてみようと、少しモジモジしながら話し始めた。

「でも…高校だけは卒業しなさいってママがハルに言ってね、とーちゃん、それまでは間違っても妊娠なんかさせるなって言われたの。」

「まぁ…そうだろうね。」

「ママはハルに、“妊娠さえしなければいいから、するなら避妊だけはちゃんとしなさい”って言うんだけど…。ハルが大人になるまでは、妊娠させるような事はしないってママと約束したからって…とーちゃんは、ハルには何もしない。」

ハルの話を聞いたレナとマユは、動揺を隠すようにアイスティーを飲んだり、グラスの水滴で濡れたテーブルを拭いたりした。