お昼前、ハルはリュウに言われた通り、ユウの自宅近所のスーパーで少し高めの桃やブドウなどの果物を買って、ユウの自宅を訪れた。

(とーちゃんって律儀と言うか真面目と言うか…。ママから聞いてたとーちゃんの激ヤン像とは懸け離れてるんだけど…。やっぱりその辺は大人の礼儀ってとこなのかな…。)

ハルはレナに案内されたリビングに座り、少し緊張しながら部屋の中をぐるりと見回した。

(幸せな夫婦って感じ…。いいなぁ…。)

殺風景なリュウの部屋とはえらい違いだと思いながら、レナが入れてくれたアイスティーを飲んだ。

「ハルちゃん、そんなに緊張しないでゆっくり寛いでね。」

「あ、ハイ…。これ、良かったら…。」

紙袋に入った果物をハルが差し出すと、レナは少し驚いた様子でそれを受け取った。

「わぁ…ありがとう!冷やして後で一緒に食べようね。」

若いハルが妊婦のレナに果物を手土産に持ってくるあたり、これはリュウからの言い付けなのだなとレナは笑みを浮かべる。

「せっかくだから、女同士いろんな話しようかな。私、ハルちゃんくらいの歳の頃には恋とは無縁だったから、そういうのやってみたかったんだ。」

「恋バナ?」

「うん。」

「ハルはそんなに話せるネタないけど…。とーちゃんしか好きになった事ないから…。」

「じゃあ…私の友達、よんでいい?」