幸せの定義──君と僕の宝物──

`アナスタシア´を出た4人は、カフェでお茶を飲んでひと休みした後、ユウおすすめのジュエリーショップのある別のショッピングモールに移動した。

ジュエリーショップに足を踏み入れると、ユウがレナへの婚約指輪と二人の結婚指輪を買った時の店員が、4人を店の奥の目立たない席へ案内してくれた。

ここへ来る事を知らなかったハルは、驚いてキョロキョロしている。

4人が席に着くと、店員がレナのお腹を見て、優しく微笑んだ。

「片桐様、お久しぶりです。もうすぐ赤ちゃんがお生まれになるんですね。」

「ハイ、おかげさまで仲良くやってます。」

ユウとレナの薬指に光る結婚指輪を、ハルはじーっと眺めている。

「今日はどのような物をお探しですか?」

「あっ…今日はオレたちじゃなくて…。」

ユウがリュウとハルに視線を向けると、店員はにこやかに二人を見た。

「いらっしゃいませ。どのような物をお探しですか?」

「指輪…なんですけど…。」

店員に尋ねられたリュウは照れ臭そうにそう答えた後、ハルの顔を見た。

「ハル…好きなの選べ。」

「え?」

「どれでも好きなの買ってやる。」

「どれでもって…。」

照れ隠しなのか、ぶっきらぼうにそう言うリュウを見て、ユウとレナは笑いをこらえた。

店員も穏やかに微笑んでいる。

ハルは困惑気味にショーケースの中を覗いた。

「リュウが選んであげたら?」

「だからオレは、こういうのは苦手なんだって…。ハルが気に入ったのが一番だろ。」

リュウの言葉を聞いて、黙ってショーケースの中を眺めていたハルが顔を上げた。

「ホントにどれでもいいの?後で文句言わない?」

「……常識の範囲内の値段にはしてくれ。」