幸せの定義──君と僕の宝物──

しばらく黙っていたトモが、タバコに火をつけながら、リュウの顔をじっと見た。

「なぁ、最近気になってたんだけどさ…。」

「なんだ?」

「リュウ、恋でもしてる?」

唐突なトモの言葉にリュウは驚き、むせて咳き込んだ。

「はぁっ?!何言ってんだ?!」

「いや…。最近リュウ、ぼんやりしてるから。アユちゃんに片想いしてた時のオレ…って言うか、昔のリュウみたいだなーって。昔もそんな時があったから。」

「なんだそれ…。」

リュウは途端に視線をさまよわせ、居心地の悪そうな顔をした。

「あ、図星だな。」

「そんなわけねぇだろ。だいたい…。」

オレとハルは身内なんだから、と言いかけて、リュウは口をつぐんだ。

(えっ?!なんでここでハルが出てくんだ?!)

リュウは自分の考えに戸惑って、また視線をさまよわせ、オロオロし始めた。

「意外とわかりやすいんだな、リュウ…。」

トモはストローに口をつけながらニヤニヤしている。

「とにかく!そんなんじゃねぇ。」

「ふーん…?話したいならいつでも聞くよ?」

「違うって言ってんだろ、しつけーな!!話す事なんてなんもねぇ!」

リュウは苛立たしげにタバコに火をつけた。

「リュウ…さっきのタバコ、まだ残ってる。」

「えっ…。」

いつもとは違うリュウの様子に、トモはこらえきれず吹き出した。

「うまく行くといいなぁ、リュウ。」

「だから…!!あー…アホらし…もうやめた。」

リュウは言い返す気力もなくなって、ガックリと肩を落としながら、短い方のタバコの火を消した。

(いくらなんでも、オレがハルを好きになるわけねぇだろう…。だいたいハルはまだ15だぞ?しかも身内だし…。)