幸せの定義──君と僕の宝物──

穏やかに微笑むリュウに、トモがためらいがちに尋ねる。

「リュウはそれでいいのか…?」

リュウは一瞬驚いた顔をした。

「オレは会おうとしても会えなかったからな。でもオマエは偶然またアイツに会えた。そういう運命だって事だろ。」

リュウがそう言って笑うと、トモは深々と頭を下げた。

「ごめんな、リュウ…。」

「なんだよ…オマエが謝るような事じゃねぇだろ?オマエらが幸せになれるなら、それでいいんだ。ちゃんと話してくれてありがとな。これでオレはやっと終われる…。オレはオレの幸せを見つけるさ。」

トモは顔を上げて、リュウの顔をじっと見た。

「リュウ…それ本心か…?」

「ああ。嘘ついてどうすんだ。」

「リュウはいつだって、オレには本心なんか言わねぇじゃん。遠慮なのかなんなのか知らねぇけどさ…。」

「それは11年も黙ってたオマエだろ?今日やっと少しだけ聞けた気がするけどな。」

二人は顔を見合わせて、たまらず笑いだした。

「お互い様か?」

「昔ヒロさんに…この間、ユウにも言われたな…。似た者同士で相思相愛なんだってさ。」

「似た者同士はともかく…相思相愛ってなんだよ、気持ちわりぃ…。」

リュウとトモは、まだ若かったあの頃のように笑いながらコーヒーを飲んだ。

ずっとお互いの胸につかえていたわだかまりがゆっくりと解けていくような気がした。

リュウは、他の誰でもなく、トモにこの想いを断ち切ってもらえた事が嬉しかった。

甘くて苦くて、切なさに胸を焦がし続けた遠い日の恋が、リュウの中でやっと、静かに終わりを告げた。

(これでやっと…オレの長かった片想いもホントに終わったな…。)