幸せの定義──君と僕の宝物──

ユウはレナの病室を出た後、雑誌の取材の仕事のため、事務所に向かった。

取材前、事務所の廊下の長椅子に座ってぼんやりとタバコを吸っているリュウを見掛けて、ユウは隣に座ってタバコに火をつけた。

「よう。」

「ああ…ユウか…。今日も奥さんとこ寄って来たのか?」

「うん。」

「そうか…。」

リュウは心ここに在らずの様子で、遠くを見つめている。

「この後、一杯どうだ?」

「ああ…そうだな…。」

以前とはまた違ったリュウの様子に、ユウは首をかしげた。



取材を終えてバーに向かったユウとリュウは、並んでカウンター席に座った。

ビールをオーダーして乾杯した後、タバコに火をつけた。

リュウは相変わらずぼんやりしている。

「リュウ、またなんかあったか?」

ユウが尋ねると、リュウは少し考えるそぶりを見せた。

「なんかあったような、なかったような…。」

「なんだそれ?」

リュウの曖昧な返事に、ユウは眉を寄せた。

「この前、ユウと二人でここで飲んだだろ。あの後、家に帰ったらな…家の前で、待ってたんだ。」

「誰が?」

「…ハル…。なんの連絡もしねぇで一人で来てさ…ずっとオレの帰り待ってたんだ…。」

「ふーん…。それでどうした?」

リュウは、その夜の事をユウに話した。

ハルに好きだと言われた事や、迷惑かと聞かれて、身内だから恋愛や結婚は考えられないと伝えた事。

泣いて一人で帰ろうとしたハルを引き留めて、その夜はハルを泊めた事。