シンヤは、以前ユウとレナの記事が週刊誌に掲載されて世間で騒がれた時の事を思い出して、神妙な顔をした。

「ただ、結婚となるとまた話が複雑だな。一般人同士ならまだしも、トモさんは芸能人だからな。変な騒がれ方したら、奥さんと子供が傷付くだろ?」

「それを今、レナとも話してたとこ。」

ユウとシンヤの会話を聞いていたマユが、ポンと手を叩いた。

「変に隠すからみんな知りたがるし、余計な詮索するのよ。騒動をできるだけ抑えたいなら、最初から事実だけをオープンにするべき。あんたたちには経験があるからわかるでしょ?」

マユの発言にユウはなるほどとうなずいた。

「確かに…。黙ってるといろいろわけのわからない騒がれ方したけど…。」

「レナがインタビューで本当の事だけをハッキリ言い切って、うちの出版社の週刊誌に事実を載せたら、騒ぎがおさまったでしょ?」

「そうだったな…。」

「もしトモが公表する気になったら相談して。絶対悪いようにはしないから。」

味方につけるとマユは相変わらず頼もしい。

「デリケートな問題だからな。事務所もいろいろ考えてるみたいだ。トモにはそれとなく言っとくよ。」

「しかしあれだな…。ユウたちのバンドは、一途なやつばっかりなのか?昔の恋をずっと忘れられないやつばっかじゃん。」

シンヤがおかしそうに笑うと、ユウは少し照れ臭そうに頬をかいて、シンヤの脇腹を肘でつついた。

「シンちゃんも人の事は言えないだろ。」

「あー…。でもオレはマユと離れてない。」

「大学まで追いかけたんだもんな。」

「それだけ本気だったんだよ。」