「ユウは子供好きなんだな。」

「んー…どうだろ?子供が好きとか思った事はないけど…単純にかわいい。」

「かわいいだろ?我が子は尚更だ。」

ユウはシンヤの言葉を聞いて、突然12歳の我が子の父親になったトモの事を思った。

「なぁシンちゃん…。我が子だとしてもさ、12歳になったその子が突然現れても、かわいいって思えるもんかな?」

唐突なユウの言葉に、マユとシンヤが驚いて顔を見合わせた。

「片桐、それどういう事?」

マユが尋ねると、ユウはマコトをレナのベッドの上に座らせ、倒れないように支えながら、トモの事を話し始めた。

「親子だって知らなかったのに、その子はトモに会うために来たんだって。トモはトモで、その子を他人とは思えなかったって。」

「へぇ…。不思議だな。」

黙って話を聞いていたマユがため息をついた。

「その彼女はすごい覚悟して産んだんでしょうね。妊娠も出産も、その後の育児も、夫婦そろってても大変なのに…。」

「そうだよね…。私なんかユウがいてくれなかったら、耐えられないと思う。」

レナがそう言ってお腹をそっと撫でた。

ユウはマコトを見ながらトモの話を続ける。

「トモはその子が生まれた事もどうやって大きくなってきたのかも、自分が何も知らなかったのはショックだったみたいだけど…子供の事はかわいいって。トモにめちゃくちゃ似てるんだってさ。」