リュウと自分が身内であると言う事も、歳の差も、自分ではどうする事もできない。

(そもそも…ママととーちゃんが姉弟になってなかったら、とーちゃんとは出会ってないんだもんな…。でもホントは…もっと違う出会い方がしたかった…。)

もしリュウが身内ではなく同級生だったら…とか、クラブの先輩だったら…とか、よくある少女漫画みたいなシチュエーションを想像してみる。

(やっぱり想像つかないな…。とーちゃんはハルが生まれる前からママの弟で、ハルが生まれた時からハルの叔父さんだったんだから…。)

うつむいたハルの瞳から涙がこぼれ落ちた。


夕べハルは、大好きなリュウに甘えるのはこれで最後にしようと思いながら、リュウに寄り添っていた。

姪としてでもいいから、リュウに触れていたくて、子供みたいなわがままを言った。

ハルの手を握ってくれたリュウの手は、昔と同じで大きく温かかった。

リュウが眠った後、ハルはリュウの背中に額をくっつけて、声を殺して一人で泣いた。

(ハルがどんなに大人になっても、とーちゃんがハルを好きになってくれる事なんてない…。これ以上とーちゃんを困らせないように…あきらめるしかないんだ…。)