幸せの定義──君と僕の宝物──

「好きだってハルが言うのは…迷惑?」

「迷惑って言うか…オレとハルは身内だからな…。好きだって言ってくれんのは嬉しいけど…恋愛とか、結婚とか…そういうんじゃねぇだろう…。」

リュウがためらいがちに答えると、ハルはリュウのシャツから手を離した。

「わかった…もういい…。帰る…。」

ハルはうつむいたままそう言うと、リュウに背を向けて足早に玄関へ向かった。

リュウは慌ててハルを追い掛ける。

「ちょっと待て、ハル。いくらなんでも、こんな時間に一人で帰せねぇだろ?オレも酒飲んでるから車運転できねぇし…。明日送るから、今日は泊まってけ、な?」

「やだ…。もう帰る…。一緒にいたくないもん…。ハルはもう子供じゃないから…一人でだって帰れるもん…。」

ハルは泣きながらそう言って、玄関を出ようとドアノブに手をかけた。

リュウはハルを後ろから抱きしめて、優しく頭を撫でた。

「ハル…頼むから言う事聞いてくれ…。」

背の高いリュウの腕の中にすっぽりと収められて、ハルは手の甲で涙を拭いた。

「ずるいよ…こういう時だけ…。ハルの事なんか、なんとも思ってないくせに…。どうせまだまだガキだなとか、思ってるんでしょ…。」

「思ってるけど…とにかく今日は泊まってけ。もう電車なくなるし…。ハルになんかあったらオレが困るから。」

「…ママに死ぬほど叱られるからでしょ。」

「確かに姉貴は死ぬほどこえーよ。でもな、ハルが心配なのはホントだ。」

リュウがそう言うと、ハルはくるりと振り返って、少しだけリュウの顔を見上げた後、リュウの胸に顔をうずめた。