また手を掴まれ、引っ張られた。
「わっ……!?」
目の前には、群青色の服。
顔を上げようとすると、頭を押さえられる。
「ちょ……」
意味が分からず、突き放そうとしたとき。
「諒真」
黒髪男が部屋に入ってくる音が聞こえた。
「おぅ圭太。どうした?」
「奈緒ってやつはどうした」
あ、そうか……
若木諒真は圭太ってやつに背を向けてあたしを抱きしめてるから、あたしは見えないんだ……。
あたしを隠したまま、若木諒真は話を続ける。
「脅したらさっき帰った」
「そうか……。咲誇の記憶が戻ったと報告があった。飲みに行くぞ」
「おぅ!後から行く」
「分かった」
圭太という男は、扉を閉めて出ていき、しばらくするとバイクで去る音が聞こえた。


