・・・なんて考えていたあたし、馬鹿だ。


この人がどんな人かを、忘れていた。





「……バーカ」




そう聞こえた途端、ぐるんと視界が反転し、気づけば諒真さんが上になっていた。





「っ……んぁ…!?」




触れるだけのキスをしていたはずなのに、突然舌が滑り込んでくる。


油断していたあたしは、いとも簡単に侵入を許してしまった。



「っふ…!」



今日イチで激しく深いキス。


酸欠状態で胸を叩くと、ほんの少し隙間を作ってくれた。


目の前には銀髪の彼。


余裕の笑みを浮かべてあたしを見下ろしている。



「りょ……ま…さん……!」


「ん?どうした」



肩で息をしながら睨みつけても効果はない。


茶色い髪を梳かれ、はらりと落ちる。



「諒真さんの…バカ……」


「バカはお前。何寝込み襲ってんの?」


「ちが……!起こそうと思って……ってか起きてたでしょ!?」


「当たり前」


「最低……」



バカにしたように鼻で笑い、またあたしに優しいキスをする諒真さん。


これで全部を許してしまう。