「さぁ、渡せ」 無情な男の声。 諒真さんは迷っている。 あたしが行けば……すべてが丸く、収まる? 「……ねぇ、諒真さんのお父さん」 気づけば、声を出していた。 「もし、あたしがその条件呑んだら…………諒真さんを、自由にしてくれる?」 「奈緒……?」 「どういう意味だ?」 笑いをこらえながら男が言う。 分かっているくせに。 「諒真さんがあんたの跡を、継がなくてよくしてくれる?」 「…………いいだろう。お前が自ら身を差し出すというなら、な」 それなら、あたしの心は決まってる。