「でも、俺には伝わってきました………リヒトさんの思いが。

自分は音楽が最優先だから、レイラさんを幸せにはできないから、

だからレイラさんのことは俺に任せるって―――リヒトさんはきっと、そう伝えたかったんだと思います」




突拍子もないルイの解釈に、私は一瞬目を見開いて、それから笑ってしまった。



「なにそれ、そんなわけない。リヒトがそんなこと思ってるわけない」



あの冷たくて残酷で身勝手な男が、気まぐれに呼びつけていただけの私に、そんな感情を抱いているはずはなかった。



「私の幸せなんて、リヒトが考えてるわけない」


「そうですか? 何年も付き合ってたのに?」



ルイが不服そうに眉根を寄せて訊ね返してくる。


私は笑いながら首を振った。



「私とリヒトは、ふつうの恋人どうしの関係とは違う………違ったから。リヒトはただ、都合がいいから傍に置いてて、邪魔になったから捨てただけ」



「そんなこと………。俺、ちょっと話しただけですけど、リヒトさんがそんなに冷たい人だとは思えません。

きっとリヒトさんなりの考えがあって、レイラさんを一番傷つけないですむ別れ方をしたんじゃないですか?」



私はさすがに呆れてしまった。



「ルイの目は優しすぎるよ。きっとルイの目には、どんな人でも優しく映るんだね」