ルイはゆっくりと歩きながら、リヒトの言葉を淡々と私に伝える。



「レイラはお前にやる、って、リヒトさんは言いました」



どくんと心臓が音を立てた。


やっぱり、リヒトにとって私は要らないものなんだ。



「俺はこれからメジャーデビューして、もっともっと上に昇りつめる。だから、恋人ごっこをしてる暇はないって。

女とは遊ぶだけ、付き合ったりはできないって」



意外な言葉に私は目を丸くした。


リヒトがそんなことを考えていたなんて、知らなかった。



「………そして、最後に、こう言ってました。

俺はレイラと遊ぶのはもう飽きた。だから、お前がそんなにレイラのことが欲しいなら、お前にやる、って」



まるで、遊びつくした玩具を下げ渡すような言葉。


リヒトらしいと思った。



「―――ほんと、最低な男」



気がついたらそう呟いていた。



そうだ。リヒトは本当に、最低な男だ。


そんなの、出会ったころから分かりきっていた。



それでも私は、リヒトに心を奪われて、囚われて、逃れられなかったのだ。



「最低………」



私の呟きを聞いたルイは、「でも」と唐突に声をあげた。