左の頬が痛く、叩かれたと気付くまでにそう時間はいらなかった。 ジワッ 涙が滲んできた。 泣きたかった。でも、泣けなかった。 「何で泣きそうなの?お母さんのほうが!」 お母さんの目から大量の涙が流れていた。 「その子は母親の泣き顔を始めて見たんだ。」 「でも、何で叩いたんだ?その母親は。」 「多分だが、両親の思い出の花だったんだろう。」