「もったいないよね」

蝶羽の猫っぽい目が、スマホのリズムゲーをプレイする私の姿を捉えた。

今日は木曜日。

花宮 永遠が提案した「お試しデート週間」も折り返し地点だから少し落ち着いてるのに、邪魔しないでほしいんだが。

「……何がだよ」

どうやらさっき亜希乃が週番の仕事で職員室に行ってしまった為、この休み時間の暇を持て余したようだ。

けど、あいにく私はゲームする手を止められないから相手してやれない。

それでも蝶羽はマジマジと私を見る。

……視線がうっとうしい。

フルコン間近なのにミスしそうだ。

「旧家の出身でそこそこのお金持ち、六人のカッコいい兄がいる、中学時代は空手部所属してて喧嘩が強い、それなりに顔が整ったイケメン系女子で最強とも噂されてる……」

なぜか私のプロフィールを解析し始める蝶羽。

……一応合ってるけど、今更それがなんだよっての。

「あー!!これだけ属性詰め込んでるのに、アニヲタ腐女子なんて……もったいなさ過ぎる!!」

蝶羽が嘆くように両手の拳を机にダァンと叩きつけた。

「もったいないってなんだよ!それは蝶羽の意見だろ。私は私だ」

フルコン達成しハイスコアを叩き出した私はスマホを置き、蝶羽に向き直った。