腐女子姫と七人の王子様


「え、時雨澤?」

「ふふっ、驚いたか?榊」

青い人魂みたいな形のギターをギターケースに収め、彼はニヤリと笑った。

セルって時雨澤だったの?

何しでかすか分からない予測不能な奴だから、もう驚きはしないけど、地味なドッキリに引っかかった気分だ。

驚きっていうか、気づけなかったのが悔しい感じ。

「馳(はせる)だからセル、な。オレたまに動画投稿者やってるから、一部で顔知られてんの」

ふーん……

って、そうじゃなくて!

動画サイトはそんなに見ないから知らないし、さっさと用事済ませて帰りたい。

「で、私をあんな方法で呼び出して何する気なんだよ」

電車の時間もあるし、手短にしてほしい。

昨日と一昨日の二人は、完全下校時間までと合意の上だったけど、この自己中心野郎は何をする気なのか……

「あぁ、歌ってくれ」

「は?」

「オレのギターに合わせて、歌ってほしい」

な、何、いきなり。

歌は亜希乃や蝶羽と一緒に行くカラオケくらいしかやらないんだけど……

やっても点数七十点くらいだし。