「おっはよぉ?逆ハーレム状態の腐女子姫さん?」

「おーはよっ、人生最大のモテ期のアニオタちゃん?」

「……なんだよなんだよなんだよ!!二人して皮肉っぽい言い方しやがって!!」

朝のホームルーム前。

ニヤニヤした変な顔のまま、私に声をかける親友二人。

どうも私の顔がとろけたままらしく、いやみったらしく言ってからかってるみたい。



……確かに、昨日は色々と心に残った日だった。

通学中に毎日見てるはずの電車の窓からの景色も、いつもと違うように見えた気がする。

「で、どうするの?紫臣くんにするの?」

紫臣くんは、独占欲が強くて病んでるけど、―――本当は、愛情表現がちょっと下手で、芸術を愛せる純粋な人。

でも……

「い、いや……確かに格好良かったし、私の作品好きって言ってくれて嬉しかったけど、まだ決められないよ……」

「ふーん」

予想と違う答えが帰ってこなかったからか、面白くなさそうに頬杖をつく蝶羽。

「……さて、今日は誰が来るかな~?」

「来るかな~?」

「おい、なんかお前ら面白がってない?」