何だ、いきなり……

疑問に思いつつ、私は素直に紫臣くんに背を向けた。


バチン


「い゛っ?!」

首筋にビリビリと痛みが走る。

膝の力が抜け、立っていられなくなり、私はその場に倒れ込んだ。

薄れゆく意識の中、ぼんやりと紫臣くんの愉しそうな笑った顔が見えた―――











手元に違和感を覚え、目を覚ました。

冷たい床に横になったまま、意識を失ったらしい。腕や脚が冷えてて、私は身震いした。

目だけ動かして周囲を見渡す。

辺り一面、黒に近い灰色。隅の方に空っぽの棚が幾つかあるだけの、殺風景な場所。

暗い蛍光灯一つだけが、広くないこの場所を照らしてる。なんだか牢獄みたい。

見覚えの無い、知らない場所だ。

……えーっと、確か、私は紫臣くんに美術室に呼び出されて、それから……

「あぁ、目が覚めたかい?」

顔を上げると、紫臣くんがキャンバスに絵の続きを描いていた。